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インターネットが途切れたとき──LoRaとMeshtasticによる最小限の通信網

大規模な通信断を仮定し、ケーブル不要で長距離に届く無線としてLoRaを紹介。オープンソースのMeshtasticでメッシュ化する考え方と概算コスト、帯域の限界に触れます。あわせてAIポインタ、銅線リサイクル、配達ロボットと歩道の論争など動向も整理します。

通信の代替手段と最新テックニュースを扱う記事

インターネットが途切れたとき──LoRaとMeshtasticによる最小限の通信網

インターネット通信の代替案

ある朝、目が覚めたらインターネットが止まっていたら、どうしますか。

ここで言うのは、底の抜けた途絶で、まったく機能せず、街全体がオンラインに出られない、という類いの話です。発生確率は低くてもゼロではなく、大規模な自然災害や有事などが想定されます。

復旧がすぐには見込めないなら、代替手段はあるのか。言い換えると、私たちだけで通信網をどう組むか、という問いです。

インターネットそのものは非中心化に近い構造ですが、小さなサブネットを一つ作るのと、友人たちがバラバラに散らばった規模までカバーする大きなサブネットを作るのとでは、難しさが違います。無線ルータ、電話線、Bluetooth、自力で光ファイバを引くにせよ、難易度とコストは小さくありません。

今日は、私が知る限りもっとも簡素な組み方を共有します。

  1. 通信距離は数十キロメートル級、状況によってはさらに伸び得る。
  2. ケーブル類を新たに張らず、自前で無線を飛ばせる。
  3. 電源はモバイルバッテリーで足り、単一電池で回せる機器もある。
  4. 価格はかなり低く、セット(送受側を含むイメージ)でも数百人民元程度に収まる、という価格帯が現実的。

唯一の欠点は帯域が小さいことで、ウェブ閲覧はおろか動画は困難で、テキストの送受に限定される点です。

小型無線端末と長距離通信を連想させる構成イメージ

この方式は LoRa と呼ばれます。厳密には無線側の方式が LoRa で、**Long Range(長距離)**の略です。

LoRa は遠距離向けに設計された無線方式で、小さな装置とわずかな電力で周囲へ電波を出せます。個人のラジオ放送に少し似たイメージとも言えます。符号化は耐ノイズ性を強く意識しており、かなり弱い信号でも復号できるため、遠方まで届きやすい、という整理です。

LoRa 単体は電波の約束に過ぎないので、送受装置を実装し符号化・復号まで担う必要があります。オープンソースの Meshtastic がその役割を担い、ソフト/ハードの取りまわしや実装例を揃えています。

メッシュ端末と接続イメージを示した図

なので、要点は単純です。Meshtastic互換の端末を揃え、参加者がそれぞれ一つ持てば、小さな通信網が組める。ノード間でメッシュ的にメッセージが中継されます。

あるECサイトでは、Meshtastic端末は1台あたり数ドルから数十ドル程度のレンジに見える例があります。オープンな仕組みのため、互換機をどのメーカーでも作れ、公式には対応デバイスの一覧もあります。下は端末の外観例です。

小さな筐体のMeshtastic互換端末の例(其一)

ディスプレイ付きの携帯型端末の例

コンパクトな無線端末の別バリエーション

公式には各プラットフォーム向けのソフトウェアクライアントも用意されています。下はスマートフォンアプリの画面イメージです。

スマートフォン上のMeshtasticクライアント画面

先に書いたとおり端末の消費電力は小さく、モバイルバッテリーだけでも数日から数週間の運用が現実的で、ポータブルなソーラーパネルを足せば、より長くオンラインに近い状態を維持しやすくなります。

ノード間の通信距離は5km以内なら大きな問題になりにくく、建物密度が低ければ10〜15km、水面のように見通しが開けた環境では数十km以上にも伸び得ます。複数ノードで網を広げれば中継が続き、さらに遠くへ届きやすくなります。

以上をまとめると、私個人の整理では、もっとも手軽で実用的かつ安価な個人向けの通信網づくりに近い選択肢のひとつです。ウェブ全体の代替にはなりませんが、インターネット上のメッセージ機能の代替としての発想は成り立ちます。

テクノロジー動向

1、マウスポインタの意味を変える案(AI Pointer)

マウスポインターは、発明以来ずっといま操作している位置を示す記号でした。

従来のカーソルを示す画面イメージ

Google(DeepMind)は、ポインターの役割を切り替える新しい提案を示しました。

今後は、ポインターはAIが何をしているかを可視化する用途に寄せ、ユーザーにプロセスを見せる役に重点を置く、という発想です。

AIの操作手順を見せるUIを想起させる画面

同時に、大規模言語モデル(LLM)前提の操作では、ユーザー側がマウスで位置を動かす前提が弱まるという含みも伴い、キーボードや音声での指示が前提になりやすい、という整理にもつながります。

2、古い銅線の回収が事業化しつつある話

再エネ拡大で銅需要が増え、電気自動車や太陽光、風力など、多くが銅の導線に依存します。

この数年、銅価は高止まり気味で、その結果として古い銅線の回収が大きなビジネスになりつつある、という報道があります。

ケーブル束や回収現場を連想させる図

かつての電話線やLAN線は銅を多用し、いまは遊休化しつつあり、光ファイバや携帯の普及に押し替わりました。地下にも使われなくなった古いケーブルが残り、古い室外機の中にも銅が多く含まれます。

廃ケーブルや金属資源を連想させる図

これらを体系的に回収できれば、相当な規模の資源価値になり得ます。加えて銅のリサイクルは比較的単純で、外皮を除けば純度の高い線材に近い形へ戻しやすい、という話もよく語られます。

見通しとしては、都市内に回収に特化した業態がよりはっきりしていく可能性があります。

3、配達ロボットが歩道を占める問題(シカゴ)

米国シカゴでは、市内で配達ロボットが大量導入され、住民の反発につながった、と報じられています。

歩道上を走る配達ロボットのイメージ

ロボットは車道ではなく歩道を走るため、歩行者の妨げになり得ます。

歩行者とすれ違う小型配達ロボット

ある市民は「歩道は人のためのもので、配達ロボットのためではない。静かな住宅街に数十台、ときには百台を超える規模の機体が行き交ったら、街はどう見えるのか」と話した、と紹介されています。

住宅街の歩道で列をなすロボットを連想させる情景

確かに問いは残ります。人は本当に、ロボットと同じ歩道を歩きたいと思うでしょうか。隣を行く「歩行者」がロボットでも受け入れられるでしょうか。

街路空間でのロボットと人の共存を考えさせる一枚

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